大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和23(れ)1387 判決

主 文

本件上告を棄却する。

但し当審における未決勾留日数中九〇日を本刑に算入する。

理 由

弁護人内水主一上告趣意第一点について。

原審の公判調書は、粗漏であつて、所論の箇所に、文字を削除し認印を施してあ

るにかかわらず欄外にその削除字数の記載がなく、また、文字を削除し欄外に削除

字数を記載しながらその削除した部分に認印を施してなく、従つて、正に旧刑訴第

七二条に違反するものであることは所論のとおりである。しかし、同条は訓示的規

定であつて、右削除の事実は公判調書の記載に照し明瞭であるから、該規定に違反

したからと言つてその削除部分は勿論その公判調書を無効なものとはいえない。さ

れば右の違法は、原判決に影響を及ぼさないこと明白であるから、所論は上告適法

の理由とならない。

同第二点並びに被告人の上告趣意について。

しかし、上告審は、純然たる法律審であるから、原判決が違法すなわち法令に違

反した場合にその違法を理由とするのでなければ上告をするを得ないのである。さ

れば所論は上告適法の理由として採用することはできない。そして、わが刑法にお

いては有期懲役に処せられた者、改悛の情あるときは、その刑期三分の一を経過し

たときは、仮りに出獄を許すことを得るものであり、ことに最近においては刑法が

改正せられ言渡された刑の執行を終り又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑

に処せられることとなく一〇年を経過したときには、その刑の言渡は効力を失つて

前科は消滅し、最初から無罪であつたのと同一になるものであるから右のような恩

典に浴するか否かは、被告人の今後における実際の心掛け一つにあるものといわね

ばならぬ。

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よつて旧刑訴第四四六条に従い本件上告を棄却し、なお、刑法第二一条に則り当

番における未決勾留日数中九〇日を本刑に算入するを相当と認め主文のとおり判決

する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 十蔵寺宗雄関与。

昭和二四年二月一〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

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